LastModified:2002/5/8 0:0:0
スカイパーフェクやCATVの配信しているチャンネルにカトゥーンチャンネルというのが
あります。主にアメリカン
アニメーションを配信しているチャンネルでして、
カトゥーンというのは辞書では
漫画と訳されたりしますが、日本で言うところの
アニメ
をむこうではこう呼んでいるわけです。
では日本のアニメはカトゥーン(cartoon)と呼ばないのか?というと、日本アニメを良く知っている
外人の方々は単にanimeと記述していることが多いようです。
良く日本の宮崎アニメ等を日本の雑誌が紹介するときに使う「ジャパニメーション」という
造語はあまり使われていませんし、認知度もさほど高くありません。(それでも、googleで82,100
くらいヒットしますが・・・ちなみにanimeは、5,600,000ヒットします)
というわけで、カトゥーンと言えば、
「トム&ジェリー」とか「ポパイ」等が日本でも良く知られた作品で、
ちょっと古めかしいところで「ジェットソン」や「フリントストーン」。
最近は、
「デクスターズラボ」とか「パワーパフガールズ」等日本のanimeを意識(パロ)した
作品も作られていたりするわけです。
ちなみに最近リメイク版が作られて話題になった映画「猿の惑星」のカトゥーン版
もあったりするのですが、日本ではなかなか見られないのが残念なところですね
(むか~し 火星年代記 を民放で一挙放送したとき
に裏番組でこれが流れていたので、古参のSFファンすらも見てない人が多いかと・・)
とまぁ、最近は日本でもファンが増えつつあるカトゥーンですが、
残念ながら日本アニメを知っている者が、"何の予備知識もなく"見た場合、
結局一部の例外を除いて、基本的に完全懲悪で、主人公はマッスルな正義の味方か
お馬鹿でギャグを連発するギャグキャラクター、
似たような色使い、似たようなテンポ、同じようなお約束に縛られた、
似たような作品を大量生産という感は否めません。
実際カトゥーンチャンネルをずーっと見ていると、なんか「一休さん」と
「どらえもん」「サザエさん」を延々繰り返し見させられているような拷問的退屈さがあります。
そんなわけで、webmasterもあまりカトゥーンは見ない方なのですが、今月から
"SamuraiJack"という作品が一つ加わりました。
往々にして、洋画やカトゥーンにサムライやら忍者やらスシ、テンプラ、フジヤマが出ると
その壮大なる勘違いぶり以外に見るべきところがないのがお約束です。
サムライが弁髪つけて青竜刀もってたり、忍者の服は赤青黄色だったり、ケーキにしか
見えないスシ、テンプラ、エベレストにしか見えないフジヤマが出てきて、日本人は
金閣寺に住んでるし、城の中で拳法の練習してるし。刀はヌンチャクのように振り回します。
西洋人の作った映画に日本が出る場合、どこまで中国と区別できているか?が一つの
見所となります。もっとも「ブラインドヒューリー」のようにベトナムと混同している例も
ありますが・・
そんなわけで、このSamuraiJackも全然期待してなかった(別の意味で期待はしてましたが)のですが、
その予想は良い意味で裏切られました。
舞台は戦国時代(?)な日本、父を悪の権化アクーに殺された子供が、全世界で修行をし遂に秘剣を
手に入れ、アクーを討ち取らんとすることから始まります。ところがアクーの最後の力で、
彼は未来世界へと飛ばされてしまうのです。
ちなみに彼の本当の名はJackではないのですが、米国人の慣習で"名無し"につける仮の名前Jackを
彼は名乗ります。なぜ本当の名前を言わないのかは不明ですが・・・
Jackのいなくなったまま時が過ぎた未来世界で、アクーは世界を支配。民衆を苦しめています。
(悪代官と民百姓の構図だね)
Jackは彼の使命のため、苦しめられている民のため、過去への帰るため、未来でアクーと戦う
のです。
絵はカトゥーンに馴染むようにかなり特徴的に簡略化されているので、止め絵でみるかぎり
あまり魅力を感じないかもしれませんが、これが一旦動き出すと、ものすごい。
かといって、アニメターザンみたいに力任せの動画で動きまくるわけでなく、動きに
ちゃんとタメがある。ジッと止まった所からダダッと動き出し、また止まる。
その間の構図もすばらしい。
目隠しをして音だけで敵を避ける、日本アニメでは比較的定番の戦いがあるのですが、
目隠しをして世界が闇につつまれ、音だけが支配する世界になったときの表現
鹿が草を食べる音から、小川のせせらぎを聞き、精神が研ぎ澄まされた時、
雪が地面に降り結晶が砕ける音が聞こえるまでの表現等は絶対従来のカトゥーン
ではあり得なかった"間"の表現です。
本当に外人が作っているのか?と感心するばかり。
配色は地味で、特にjack関連になってくると基本的に白と黒だけになります。
この配色のせいで劇中、多少中国ティストを残したフォルムがあっても、
ちゃんと日本テイストになってます。(中国は赤が基本)
簡単に言えば、この作品の魅力は「静と動」の二点にあります。
しかもその動きそのものが、
なんとも言えず麻薬的な快感がある点においては日本のそれを越えているかも
しれない。
なにはともあれ、ぜひCATVやパーフェクに入っているなら動いているところを見て欲しい作品です。
- ※火星年代記: レイ ブラッドベリ著。
- TVシリーズはかなり眠い出来になっている。
SFファンならともかく素人にはお勧めできません